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「スズメの組み木」について

小品ですが、スズメの組み木がたくさん出来上がりました。

昨年から知人に頼まれていたのですが「いつでもいいです。急ぎません。」という優しい言葉に甘えてついつい後回しにしていたのです。そのデザインを描くきっかけになったのは、カラスの引越しでした。

実は私の家はお寺で、境内の道路に面した側にモチの大木があり、その樹上がカラスの寝ぐらになっていました。朝に夕に本堂の屋根瓦のてっぺんに飛んで来ては、つがいで「カァーカァー」と響く声で鳴くのが日課でした。そして毎年、卵を数個生みヒナを育て巣立つまで見守っていました。ですから100年近くお寺と共に生きてきたモチの木を切るという考えは全くありませんでした。

それがここ数年の台風や暴風雨災害のニュースを見聞きすることが増えたため、伸びた枝が電線にあたりはしないか、折れて通行人や車に落下しないかと心配が膨らんできました。ご門徒の助言もありこの春ついに半分の高さの位置で切りました。ウチのカラスは、帰る家が突然失われたのですから、それはもう悲愴感漂う声で寺の上空でいつまでも鳴き、とても心が痛みましたが、一週間くらいすると諦めたのかその声が小さくなり、いつのまにか遠のいてくれました。

そのような頃、寺の門の下の地面に白いフンが落ちていることに気付き、見上げると梁の板の節の部分にポッカリと丸い穴が開いて白くなっています。そして中から何とスズメが頭を出し飛び去りました。恐ろしいカラスがいなくなったので、近くにいたスズメがちゃっかり入り込んでここを巣にしていたのです。
「「スズメの組み木」について」関連画像

それからというもの朝、門(木の扉)を開けに行くのが楽しみになりました。早起きのこの巣の住人は、チュンチュンと元気に鳴き、地面に下りてきてうれしそうにホッピングして移動します。エサを啄んだり、羽を広げて空中でじゃれ合ったりする様子も、なかなかおもしろく見ていて飽きません。最近はしょっ中、スズメに目が留まります。それ程身近な所にたくさんいたんですね。丸い茶色のヘルメット頭に、頬紅ならぬ頬黒。その姿も動きも愛らしい。この年齢になって気付くなんて・・・・・。新鮮な発見でした。

2020年7月の作品「スズメの組み木」はこちらです。
更新時間:2020-07-31 11:40
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